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蚊帳の母と子

鈴木 春信
スズキ ハルノブ
Suzuki Harunobu

蚊帳の母と子

分 類:版画
制作年:明和4年(1767)頃
技 法:中判錦絵
寸 法:27.8x21.4cm

 母親が赤い腹掛の幼子を寝かしつけようと蚊帳から半身出て小さな手を引いている。遊び足りない子どもの気持ちはまだ畳の上のままごとにあるようで、まだ眠くないと抵抗の様子である。
 このように母子の愛情を感じさせる日常を描くことは、江戸らしい文化が花開いた春信の時代頃から、浮世絵主題の中でも大きな位置を占めるようになる。多色摺木版画技法が発達した錦絵の創始期にあたり、裕福な人々の支持を得て、高級な春信の錦絵が出版されていたことを考えると、このような図も享受者はある程度裕福な大人であったと考えられる。
 子供の輪郭には墨の線を用いず、紙の凹凸だけで、幼い柔らかな肌を表現しているが、絵具をつけない版木で強く摺る“きめ出し”と呼ばれる技法で、厚みのある高級な奉書紙を用いているからこそ効果も高い。蚊帳の細かい網目までを丁寧に仕上げ、色彩の美しい摺も見事である。