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鞠と男女

鈴木 春信
スズキ ハルノブ
Suzuki Harunobu

鞠と男女

分 類:版画
制作年:明和4年(1767)頃
技 法:中判錦絵
寸 法:31.0x14.4cm

 優雅な装束の若衆が蹴った鞠は、塀を越えてしまったらしい。満開の桜の下、可憐な娘が鞠を持って手渡そうとしている。視線を合わせた若い男女の恋の始まりを予感させる設定は、春信の得意とするロマンティックな世界である。寛延~宝暦期(1748~64)には、先行する浮世絵師奥村政信(1686~1764)や石川豊信(1711~85)、鳥居清広(?~?)の手により、男女の相合傘などの恋の図が生まれていたが、叙情あふれる春信の作品は、その精華として記憶されるであろう。
 春信は、西川祐信の『絵本美奈能川』[享保18年(1733)刊]の1図から発想を得ているらしい。祐信の図では、若衆が梯子に上って羽子板を持つ娘に羽根を取ってあげているというもので、平安後期~鎌倉初期の歌人藤原俊成の「しるらめや宿の梢を吹かわす 風につけても思う心を」と恋の歌が記されている。