2024年度10月から11月にかけ、3回に渡り開催したつくりかけラボ16 「金川晋吾『知らないうちにはじまっていて、いつ終わるのかわからない』のためのワークショップ」の様子を報告いたします。
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「知らないうちにはじまっていて、いつ終わるのかわからない」。そんな写真と向き合う全3回のワークショップシリーズが始まりました。10月20日に開催された1回目のワークショップでは、抽選で選ばれた参加者6名が初めてラボに集まり、自己紹介をし、金川さんからはこのワークショップの趣旨が説明されました。
ここでは自分が写った写真を持ち寄り、その中から展示する写真を選び、感じたことを言葉にします。けれど、何を選ぶか、なぜそれを選ぶか、そして何を伝えようとするのか──そのすべてが未定のまま。わかることよりも、わからなさに出会うこと。そんな静かな探求を、金川さんと共にみんなで進めていきました。
今回のプロジェクトでは3回のワークショップが非常に重要な意味を持っていること、1人ひとつの壁に貼っていくことなどが丁寧に話されていきました。
参加者は持参した「生まれてから現在までの自分が写っている写真」を机の上に一度並べ、自分が貼る写真を選んだり、順番などを考えます。
広げた写真を参加者全員で見ながら、コメントをしていきました。
貼りたい写真が決まった人は、少しずつ白い壁に写真を仮止めし始めました。初回のワークショップはこのあたりで終了となりました。
2回目のワークショップは11月9日に開催されました。
まず金川さんが前回のワークショップから2回目までの期間に制作した壁を見ながら、言葉にし、それぞれの方向性や作業をどうしたら良いのか、などの話を聞き、尋ねながら、各自作業に入っていきます。
2回目となると、みなさん最初からすぐに作業に入っていきました。どんな言葉を書くのか、時間をじっくりかける方もいました。
最終回、3回目のワークショップは11月30日に開催されました。最終回はどこまで作業ができるだろうかと話し合いながらも、各自真剣に作業に入ります。
今回のワークショップ期間中では終了できなかった人も、このラボはいつでもオープンしているので、作業が継続できることをスタッフから聞き、少しほっとする方も。
のべ三日、合計9時間に渡るワークショップが終了しました。(*報告書が発行されましましたので、ぜひこちらもお読みください。)
ワークショップ終了後、参加者から寄せられたアンケートには、それぞれの率直な思いや実感が綴られていました。その一部をご紹介します。
・何かが変わる気がすると思って今回このワークショップに応募して、運良く参加できたことをとても嬉しく思います。途中、もうこれくらいにしておこうか、と投げ出してしまおうかなぁとも思ったのですが、フィードバックの塩梅や、全体の空気感で自分でやりたいことはやりきれたなという感じです。3ヶ月+トークイベント、本当にありがとうございました!
・色々なワークショップに参加してきたけど、今回のワークショップはとてもレベルが高いと思った。参加者の名前まで出していただいて!今回、自分の人生を俯瞰して見ることができてよかった。ワークショップに参加してなければ、これ程エネルギーをかけてはやらなかったと思うし、若い人の感性をかいまみられて楽しかった。
・取り組みの期間が長いことがよかった。まだあまり言葉にはならないが、ワークショップを終えても、ここでの取り組みや考え方が自分の中で持続するかんじがある。
・全員が分からないものに向かっていく感じはなかなかないので新鮮でした。そしてその分からなさを誰も否定することなく分からないまま進行されていったのがとてもよかったと思いました。自分が自分のまま、思ったことそのままでいられる空間はあまりないような気がするので、そういう意味でも参加できてとてもよかったと思っています。
アンケートからは、参加者が迷いながらも、それぞれ奥深いところから制作に向き合っていた様子が伝わってきます。会話を通じて知った他者の視点、自分とは異なるアプローチ、自分も相手も否定せずに進めていくーこのような体験がひとり1人に大きな意味をもったようです。
※本記事に掲載している写真はすべて天野祐子さんによる撮影です。
(報告者:つくラボ運営担当 樽谷孝子)