1959年東京都生まれ。画家。多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。近年の主な個展に、「吉澤美香展 1990–2006」豊川市桜ヶ丘ミュージアム(愛知、2018年)、「去りゆく者にポテトチップスを」ギャラリー・アートアンリミテッド(東京、2021年)。これまでの主なグループ展に「第18回サンパウロ・ビエンナーレ」(ブラジル、1985年)、「Documenta 8」(ドイツ、1987年)など。1996年倫雅美術奨励賞受賞。多摩美術大学教授。

1980年代後半に吉澤の作品は、プラスチック素材とシルクスクリーンインクを使用する制作手法の変化とともに、作家の身体性を強く感じさせる抽象的な図像が、大きな画面に描かれていった。幅3mを超える《ほ−82》もまたうねり、躍動する紫色の形態が特徴である。支持体に用いられたアクリル板の特性をいかし、線を描いては拭い取る行為が繰り返された制作手法から、1980年代前半の活動初期より続く「もの」と「場所」の関係に対する作家の思考が、1992年制作の本作では絵画空間においてあらわれている。