企画展
日本初公開

キンゼイコレクション 現代根付 ―手の中の森羅万象・世界の匠たち―

賛助出品:高円宮コレクション

2001年8月7日[火] – 9月24日[月・祝]

会期

2001年8月7日[火] – 9月24日[月・祝]

※この展覧会は終了しました

休室日

毎週月曜日(休祝日の場合は翌平日)

観覧料

一般800円(640円) 大学生・高校生560円(450円)  中・小学生240円(200円)

※( )内は団体30名以上、または前売の料金

主催
千葉市美術館
後援
アメリカ大使館

根付とは?

根付(ねつけ)とは、江戸時代の日本で、巾着袋や印籠、煙草入れなどの持ち物を着物の帯に吊り下げるために、紐の先端に滑り止めとしてつけて用いられていた、小さな彫刻です。実用上、(1)小さくて、(2)丸みがあり360度どこからでも見られること、(3)紐を通す穴があること、が求められます。その制約を逆手にとって様々な機知に富むデザインが試みられ、驚くべき技巧が凝らされました。日本の細密工芸美術の粋ともいえるものなのです。

 

根付のたどった歴史

根付は、明治維新後、浮世絵と同様あるいはそれ以上に、海外にまさに「大流出」しました。欧米の熱烈なコレクターが優れたコレクションを形成し、今日海外の主要な美術館博物館には必ず質の高い根付の展示が見られますし、研究にも歴史があります。

しかしながら日本国内では、大きなコレクションがほとんどなく一般の眼に触れる機会が限られていることもあり、根付の認知度は海外に比べ逆に圧倒的に低いまま今日に至っているようです。 ましてや、現代においてもこの根付彫刻が連綿と受け継がれ、さらに新鮮な感覚を盛り込んだ「現代根付(コンテンポラリー・ネツケ)」と呼ばれるカテゴリーが確立されてきたことについては、残念ながら一般には未だほとんど知られていないのではないでしょうか。

 

現代にも根付の作家がいたのか!?

明治時代以来、主に海外からの需要に応えるべく、根付は彫り続けられ、幾人かの名人やその一派も出ていました。そうした系譜を引く作家、象牙彫刻などの家業を継いだり、弟子に入ったりして根付を始めた作家などのほか、近年では、さまざまなメディアを介して根付に興味を持って制作を始める人、工芸の別のジャンルを手がけていた作家がその技術やデザインを生かして根付に取り組むなどの例も増えてきています。

 

現代の根付とは?

現代の根付は、素材、題材とも格段にヴァラエティー豊かなものとなっており、作家も日本を中心にアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界に広がっています。

かつて根付といえば象牙一辺倒という時代もありました。しかし、ワシントン条約により1989年に象牙の輸出入が全面的に禁止されて以降、作家や収集家、ディーラーたちは一体となって根付に適した様々な素材を探し、新たな技術も進展させてきました。

取り上げるテーマも伝統的なものだけでなく、それに現代的なセンスを加えたもの、そして全く斬新なテーマのものなど、現代ならではの面白さにあふれた作品が増えているのです。こうした作品群の台頭により、「現代根付」という呼称も定着してきました。

 

海外に作家!?

根付の大流出により、欧米では質量共に優れたコレクションが蓄積され、研究、展示がなされてきました。展覧会により根付ブームが起こった国もあります。そうした自国の美術館の展示を見て触発され、作家を志したという人もでており、意表をつくアイディアに満ちたユニークな作品がこの世界に活気をもたらしています。江戸以来の根付が、世界にまさに根付いてきているのです。

 

この展覧会の特徴 日本の美術館初の催し

この展覧会は、このような「現代根付」に焦点をあて、ロサンゼルスのキンゼイコレクションを中心とした約350点の作品を展示します。出品点数では過去最大規模の展観です。日本の美術館においては根付の展覧会はあまり例がなく、特に現代根付展としては初の試みとなるものです。海外では、1994年に大英博物館とロサンゼルス・カウンティ美術館において行われた展覧会が世界初の現代根付展ということにになります。

 

キンゼイコレクションとは?

キンゼイ夫妻は現代根付に関する世界で最初の本格的な著作である”Contemporary Netsuke”を1977年に出版するなど、いち早く現代根付の魅力を紹介され、現在に至るまで現代根付の発展に力を尽くしてこられました。”現代根付の育ての親”ともいえるキンゼイ氏の世界一のコレクションは、1997年にアメリカのバワーズ美術館において展示され、大好評を博しましたが、日本でまとまって紹介されるのは初めてのことです。

 

高円宮コレクションとは?

高円宮憲仁親王殿下は、久子妃殿下とともに根付を愛され、根付を通じての国際親善にもつとめておられます。現代根付についても作家との交流を通じ、題材・素材などについて示唆を与えるなど、根付界にとって最も心強い支援者でいらっしゃいます。今回の機会にそのコレクションの中から選りすぐりの55点を賛助出品として加えてくださる運びとなったもです。

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