千葉市美術館30周年

ブログ
『認知症きほんのき~認知症が身近になるアートの時間~』(3回目)を開催しました

2025.7.3 みんなでつくるスタジオ

2024年度に開催した、ワークショップパートナーによる企画を報告いたします。(講師・高橋恵子)
***************************

2025年626()『認知症きほんのき~認知症が身近になるアートの時間~』を開催しました。

「幸せは、私からはじまる」この言葉が、いつの間にか私たちのワークショップの真ん中に座っています。どんな状況に出会っても、まずは「私自身の幸せ」を自分のお守りにすること。この3時間は、そんな感覚をみなさんと一緒に確かめ、分かち合う時間になったように思います。

学ぶ、想像する、そしてほぐす

最初は、認知症の「きほんのき」をみんなで学ぶところからはじまりました。
「認知症を深めた本人を、わからなくなった人と見てしまいがちなのはなぜだろう?」そんな問いを一緒に想像する時間。でも、そこで大事なのは「自分を責める」ことではありません。むしろ、そう感じてしまう自分にも、そっと心を向けてあげることを大切にしています。

各所には、クレヨンを使って自分の気持ちを描き出し、少しずつほぐしていくワーク。言葉では説明しきれない思いを、色や形に変えてみると、不思議と心がやわらぎます。そして、お互いの気持ちを受け取ってみる「ミラーリング」を使ったロールプレイも体験。相手の立場に立つことは、シンプルだけれど、とても深い体験でした。

大人気のコラージュワーク

メインプログラムは、自分だけの「幸せ」をあらためて形にするコラージュづくり。「こんなのもいいな」「わー、すてき!」初対面同士とは思えないくらい、話がはずむ時間になりました。

違うからこそ、分かりあえる

今回も、本当にさまざまな立場の方が参加してくださいました。「私の普通」は相手の「普通」とは違う。その逆もまた同じ。福祉の現場でよく耳にする「インクルーシブ」や「ごちゃ混ぜ」という言葉も、私たちは、違いを驚きあって、補いあって、当たり前ということなんだな、と感じました。「共感」とは、ただ相手に賛成することではなく、お互いが少しずつ歩み寄り、調整し合う先に生まれるものかもしれません。

なにより、最後にみなさんが笑顔で帰っていかれたことを、スタッフ一同、心から嬉しく思っています。本当に、ありがとうございました。

【当日の会場の様子】

【アンケートの声/抜粋】

・介護に「自分に優しく」のまなざしがよいなと思いました。千葉市の方がうらやましいです。ちょっと家が遠いのですが、来られてよかったです。
・あっと言う間の3時間でした!先生が最初におっしゃっていた「最初は緊張していたり、勉強しないと!等と感じていらっしゃるかもしれませんが、最後は楽しかった〜」というおことば、その通りでした!
・認知症がある方だけではなく、すべての人の気持ちに寄り添ったり、理解することの大切さを思いました。自分が幸せな気持ちでいることも。
・認知症の方への対応の怖さが減らせた。
・認知症についてあたたかく学ぶことと、自分自身とゆったり対話することが、たった3時間でできてしまった!驚きとほこほこした気持ちでいっぱいです。
・幸せな気持ちになる方法のひとつを知った。まずは自分が幸せになる、笑顔になる。そしたら相手もにっこりしてくれる。

(報告者:高橋恵子 )

Search